ジャイナ教のムニ(僧)の中で、日本人グループとご縁があり、親しくさせていただいている方が何人かいます。
その中の一人、ムニ・ジャイクマール(J・K)師に出会ったのは2007年。
初めて瞑想キャンプに参加したときのことです。
ムニの中には、ベジ(菜食)であるにもかかわらず、お腹がでっぷりとしたいわゆるおデブ?!の人もいますが、J・K師はほっそりとしたしなやかな体つきに澄んだ目を持ち、どこにも滞りのない、霞を食べて生きているような透明感のあるムニで、誰もがいっぺんで魅了されてしまう、みんなのアイドル的存在です。
僧でアイドルっていうのもチト変ですが。(^_^;)
毎回のように、日本人グループの講座を担当していただき、すっかり顔なじみです。
今回もセンターを訪れ、少し離れたところで私たちと顔を合わせたら、ニッコリと微笑んでくださいました。
私はチョー嬉しくなり再会できた喜びに、走って行ってハグしたいのをぐっとこらえ、犬が喜んでちぎれるほどに尻尾を振るのと同じくらいに、めいっぱい手を振りました。
なぜこの私がハグしないかって?
それは、女性はムニに50~60cm以内に近づいてはいけないのですよ。(^_^;)
ましてや触れるなどトンデモナイ!
故意ではなく、うっかり体がぶつかったり、触れちゃっただけでも、ムニは2~3日の断食をしなければならないそうです。かわいそう。
これ以上痩せっちゃったらどうしましょ。
もちろん男性もサドヴィ(尼さん)に近づいてはイケません。
だから物を渡すときは、直接手に渡すことはせずに、近くの床にぽんと放り投げるのです。
最初、投げて渡すのを目撃したときは、ランボーな!と思い、随分ビックリしました。
さらに初めて会った時に、一緒に写真を撮っていいかと許可を得て、隣に並ぼうと側に寄ったら、ぴょんと50cmほど飛び跳ねて離れたのです。
その素早かったこと。
さすがヨガ人。
彼は超人的なアサナができるスーパームニであり、そして更に眠らない僧としても有名です。
10年以上、一晩中パドマ・アサナ(蓮華坐・結跏趺坐)で壁に頭をもたれかけるようにして瞑想をし、横にならなかったようです。
最近は、23:00~01:00の2時間だけは、横になってカヨーウッサグをやるとお話していました。
「カヨー」は「からだ」、ウッサグは「去る」という意味で、体と意識の分離を目的とし、完全なるリラクゼーションを目指すプレクシャ・ディアーナで一番初めに行うものです。
身体の各部位に向けて、自己暗示の誘導を行いながら、体中の力を抜いていくものですが、今では自律訓練法として広く知られています。
基本は横になって行いますが、座位(パドマ・アサナまたは椅子に腰掛ける)または立って行うこともあります。
ただし立ったままだと、睡魔に襲われた時、ガクッと膝が折れて、転倒する可能性あり。初心者には危険かも。(^_^;)
瞑想をやる前には、「私は決して眠りません」と誓うのですが、修行の足らない凡人は悲しいかなすぐ眠くなっちゃうんですねェ。
仰向けになり右足の親指から順に意識を移しながら、深い呼吸を続け、力を抜いていくのですが、数分も経たないうちに、気持ち良くなり、つい「ん、ん、んがぁ~」と心地よぉ~く眠っちゃう。
時たま自分のイビキで目が覚めたりして(^_^;)
J・K師はもちろんイビキをかいて寝てしまうということはないと思います。
今回は、なんでも質問して良いというので、ズッポリ・・・聞きました。
1973年10月12日生まれ。
幼い頃、お父様を亡くし、二人のテーラパンタ派のムニに勧められ、19歳になった1992年10月に「魂の幸せ」を求めてムニになったとのこと。
その時、お母様はとても喜んだそうです。
恋愛経験はあるのかと聞きたいところでしたが、とてもそんな下世話な質問はできず、ムニやサドヴィたちは清らかで、異性のことを想像することさえも禁じられているのですよ。
いつも女の子のことばかり考えているエロおやじに、爪の垢でも飲ませてあげたいね。ぐふふ
ある時、ヨガのアサナ「バッダ・パッドゥマアサナ」の話になりました。
それはパドマ・アサナで座り、背中で腕を交差させて、手の先を前に回して両足の指先を掴むというもの。
それをJ・K師がいとも簡単にやって見せてくれました。
みんなで「流石だねェ」などと言ったものの・・・なんか変?!?
後ろにくるっと回ったその姿を見て
ガーン Σ(|||▽||| )
驚愕! 絶句! フリーズ! 唖然!
そこにいた全員が固まりました。カッチーン!
そこに見たものは、後ろで腕を交差させただけでなく、ナントその腕はクルッともう一回絡んでいるではありませんか!
あり得なぁ~い。
みんなで目をこすりましたが、やっぱり現実です。
これまで直にスーパーアサナを行う先生やグルに何人かお目にかかっていますが、これほどまでのアサナを行える人は初めてです。
でも何故か、逆立ちやアーチのポーズはしないようです。
なぜなのか聞くのを忘れました。
そして今回とっておきのマントラを教えてもらいました。
「Mangal Bhavana」の時間に「幸せの雨がふる」というマントラです。
自分への平和の祈り、そして自分の人生への願い、これを唱えることによりオーラが出て、忍耐力が養われ、強さと力、そして平和な気持ちに満たされるというものです。
「Arnando me Varshati Varshati」
アーナンドーメイ ヴァラサティ ヴァラサティ
私の心の中で幸せの雨がふる 苦しみ、悲しみがない
「No me Dukham、NO me Dukham」
ノーメイ ドゥーカン、ノーメイ ドゥーカン
私には苦しみがない
この幸せの雨は緑色なのだそうです。
きっと冷たい雨ではなく、温かいのでしょうね。
瞑想中は一切体を動かしませんが、この時は目を閉じたままマントラを唱えながら、旋律に乗り、バイブレーションに任せて自由に体を揺すって構いませんというより勝手に体が気持ちよく動いちゃうんですねェ。
唱えていくと気持ちが明るく楽しくなり、解放されて本当に幸福で平和な気分に満たされたのでした。
質門の最後に同行者の一人が彼に訊ねました。
「今まで一番辛かったことはなんですか?」
「辛いことは一つもありません」即座に彼はそう答えました。
それはとても深い意味だと思います。
世界で最も戒律の厳しい宗教であり、私たちが辛いことだらけに思えることも、ジャイナ教のムニやサドヴィにとっては、苦ではないのです。
その境地に至るには、やっぱりラドヌーンで修行するしかないかな。
さてまだまだ続きはあります。
次回、乞うご期待!
To be continued!